今年、創業90周年を迎えた当店は。葉山の農家に代々伝わる在来品種「葉山たのくろ豆」の栽培と豆腐作りにチャレンジしています。「葉山たのくろ豆」は、三浦半島に吹き寄せる相模湾からの海風のミネラルを含み、まるで相模湾のようなエメラルドグリーン色。その大豆で作る豆腐もきれいな色になるのでは、と期待しています。
【葉山たのくろ豆との出会い】
たのくろ豆(田畦豆)とは、田んぼの畔(あぜ)を補強するために植えることから、こう呼ばれています。「三浦半島在来のたのくろ豆があるらしい」と聞いたのは数年前。その後、知人を介して葉山の棚田や子安の里周辺で栽培されていることを知りました。今回は幸運なことに葉山町下山口にあるイサムファームさんから代々、自家消費や枝豆として出荷する用に栽培されていたものを譲って頂きました。
しかし、三浦半島では広大な敷地がなく、脱穀・選別するインフラがありません。そこで、当店の人気商品「地大豆とうふ」で使用している津久井在来大豆の生産農家・石井好一さん(相模原市緑区)にご協力いただき、畑の一画をお借りして今年の春から栽培。店主自ら現地へ赴き世話をして、11/22には約20㎏を収穫することができました。
【今後の展望】
味噌や醤油、豆腐など日本食文化とは切っても切れない「大豆」。かつては日本各地で、それぞれの土地にあった在来種が育てられていました。食の工業化など、効率を重視する社会の流れとともに、そうした個性的な品種は人知れず消え、品種改良を経て大量生産に向いた大豆が、大手メーカーの商品を中心に使われています。
私どもは町の小さな豆腐店ですが、だからこそ在来大豆を使い、ここでしか食べられない個性的な豆腐を作っていきたいと考えています。今回の「葉山たのくろ豆とうふ」は、創業100年を見据えた、当店のこれからを支える看板メニューになっていくものです。この豆腐を通じ、お客様に地産地消や食の安全の大切さ、ひいては日本食文化を継承する一助になればと思っております。一般向け販売は2月1日(月)から限定販売致します。